紹介された方は、武蔵野音楽大学の講師若林英鋭先生です。

  今日、中学校音楽科の授業で和楽器を取り入れる実践や工夫が
 全国的に行われている。
  このような中で、この度出版された標記の書は、
 清水氏の十年来の授業実践をまとめたものである。
 本書は、和楽器や日本の音楽を投業に取り入れる実践や工夫を進めておられる先生方にとって、
 大きな示唆を与える書の一冊となろう。
  氏が和楽器に取り組むようになったきっかけを、
 「ある生徒の『先生、私は箏を弾いてみたいのですが、
 授業では教えてくれないのですか』というひとことでした。」と「はじめに」に記している。
 ここで氏が、「教えませんよ‥‥・」と生徒にいっていたならば、
 この書は今日生まれていなかったと思うが、この生徒のことばを機に、
 自身で箏を習い、自分の足で走り回って箏を集め、授業に箏を登場させるという
 氏の情熱と行動力は見事ということができよう。このような積極性が本書に登場する
 実践を生む基になっていると思う。

  本書は三章で構成され、
 第一章では、和楽器や日本の音楽を音楽科で授業に取り入れる理念を明快に示すとともに、
  三年間を見通した年間指導計画等を示している 
 第二章と第三章には実践例が示されているが、
 第二章では必修授業での実践例を、
 第三章では選択授業での実践例を挙げている。

  それぞれの事例は、
 「ねらい」、「ここが重要!」、「授業展開プラン」、「授業の工夫・発展」という構成になっている。
  「ここが重要!」や「授業の工夫・発展」には、学習を展開する上でのポイントなど、
 学校現場の実態を踏まえた記述となっていて参考になる。
  本書は、百三十数ページという規模であるので登場する和楽器等についての 
 詳細な記述は省いてある。しかし、実践という面からポイントをしっかり押さえ、
 必要に応じて五線譜による楽譜も(氏の編曲で)掲載されているので、
 自校でも和楽器を使った学習を工夫しようという際に十分活用できよう。
  本書の「おわりに」に、氏が、「この本を書けたのも、いつも私のそばにいた生徒たちが、
 きらきらした瞳で、何に対しても一生懸命で前向きに取り組み、
 私とともに音楽を楽しんでくれたおかげだと思います。」と述べている。
 氏のこのような教育に対する態度が全ての実践例の土台となっているといってよかろう。

   音楽の先生に限らず、一読をすすめたい。
教育展望の平成16年1・2月合併号の
「展望らいぶらりぃ」に、この本が紹介されました。  
この本の
初めの頁に
戻る時は
鼓を打ち
しましょう