わたしは、これまでいろいろな和楽器の奏法や曲を紹介している書物・曲集を買い求め、
それらを参考にしなから、子どもたちと和楽器に取り組んできました。
 その中でも、この「楽しい箏楽譜集」という本は、
初めて学校教育の中に和楽器を導入される先生方や、
すでに取り組んでおられる方、またもう少し刺激がほしい方などに、ぜひおすすめしたい1冊です。
 この本には、サブタイトルに「授業や音楽会ですぐに使える」とあり、おまけにCDつきで、
文字どおり現場で即実践指導に活用できる数少ない本の1つといえます。
  この本は、「入門編 箏を弾く前に」「導人編 初めての箏」「初級編 箏の音色を味わって」
「中級編 調弦の自在さを生かして、世界の曲を」「上級編 箏特有の奏法を生かして」という
5つの構成でできており、子どもたちも指導者もどんどんステップアップしたくなるような、
ていねいでわかりやすい、またやってみたくなるような編集になっています。

  「入門編」では、初めて箏を採り入れるときに、知っておくと便利なな箏の扱い方を、
とても親切に、また子どもたちが活動している写真つきで示してあります。
  さらに、基本的な弾き方の中で、ます1つの音を奏でてみるときに「”気持ち”と体重を
親指の爪にのせて『テーン・・』と、一番すてきな音を奏でてみましょう」というとことは、
著者の箏へのいとおしさが伝わってくる気がします。そして、演奏上の基本を守り、
伝承していってほしいということが、さりげなく子どもたちへ伝えられていく気がしました。

  「導人編」では、ステッフ1・2・3と段階をふんで意欲を持たせ、「何曲弾けるかな」と、
少しの経験でも出来るレべルのわらべ歌がたくさん紹介されています。

  「初級編」では、1面の箏を3人で奏でるための活用方法が紹介されています。
これははじめ、「えっ! どうやってやるの?」「そんなことできるの?」と思いました。
  しかし、実際にわたしも子どもたちと試してみたのですが、これがなかなか楽しく、
また、1人ひとりか参加して音楽活動か楽しめるので、子どもたちにはとても好評でした。
たくさん箏をそろえられない学校にとって、この方法はまさにうってつけなので、
ぜひチャレンジしてみてはいかかでしょう。

  「中級編」では、日本やアジアの音楽の調子に対する柔軟な考え方をとおして、
楽器の王様「箏」で、「地球音楽」を、校門を出て世界中で奏でて欲しいと著者は語っています。
そして、いろいろな国の音楽に、楽しく親しむことができるように編曲された曲が、
数多く紹介されています。
  その中でも「越天楽今様春欄漫」という曲は、子どもたちのお気に人りの1つです。
これは「越天楽今様」という雅楽の名曲と一緒に、子どもたちがよく知っている「春がきた」
「さくらさくら」「さらりとした梅酒(CM)」など、計6つの曲で春爛漫を満喫しようというもので、
子どもたちが喜びそうなユニークな編曲になっています。
  この曲以外にも、沖縄・韓国・中国・ペルシャ・トルコの音楽の特徴を、
箏の調弦の自在さを生かして楽しめるように編曲したものなどが紹介されています。
 さらに、箏の多様な奏法を駆使して、民族楽器の特色を生かした箏での
斬新なな表現方法を紹介した曲もあり、音楽活動の幅が広がるでしょう。

  「上級編」では、箏ならではの奏法(流し爪、引き色などを多く取り人れ、コンサート、
学校行事での発表に使えるような曲が紹介されています。また、箏の楽譜(縦譜)で書かれた曲、
さらに小鼓・大鼓なとを取り人れ、歌舞伎囃子調にアレンジした曲もあります。
特に、バリ島の「ケチャ」と「越天楽今様」の饗宴(共演)は、アジア音楽の融合を
たっぷりと体感できるものとなっています。

  以上の入門編〜上級編の全般および全曲にわたって、豊富な経験を有する著者ならではの、
実践に即役立つ細やかな「アドバイス」が随所に織り込まれており、
これらは初心者にとってありがたい貴重なサポートになるでしょう。
  この本を紹介させていただく中で、この2人の著者のかたが、
箏の特質を深く知りつくしているからこそ、日本の伝統的な奏法を大事に伝えられたり、
幅広い活用方法を発掘できるのだということが、わたしには強く印象に残りました。
 さらに、「箏」をとおしてお互いを認め合ったり、助け合ったりする中で、
音楽と心の和が広がっていってほしいというお2人のメッセージが聞こえてくるようでした。 
月刊誌「教育音楽」の中で、
現場の先生方が色々な本を、
この頁で紹介されてます。
「箏」の魅力に迫ろう!
 子どもたちと
 箏の「わっ」「輪」「和」
地球音楽広場に
戻る時、
一緒に踊って下さい。
紹介された方は、愛知県名古屋市立砂川橋小学校の
下原幸世(しもはら・さちよ)先生です。
平成15年4月号に、
 この本が次の題で紹介されました。  
この本の
初めの
頁に戻る時に
鼓を
打ってください
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